ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

ケニアのサッカーはなぜ弱いのか

ケニアで盛んなスポーツは何かと聞かれるとサッカーだろう。テレビでは頻繁にサッカーを放送しているし、ケニア人に聞いてもみんなサッカー好きだよと言っていた。後はラグビーやクリケットもそこそこメジャーらしい。
オリンピックでも陸上競技はケニアを始め黒人が総なめにするし、奴らのポテンシャルは半端ない。小学生の時あしたのジョーを読んだ僕の頭の中では「黒人の筋力はやばい」というメッセージが刻み込まれているのだ。
 
しかしケニアのサッカーは弱い。僕はあまりサッカーに詳しくないのだがFIFAランクを見ると120位くらいだった、普通に弱い。あれだけ国中で流行っていて、かつ黒人何だからもっと強くてもおかしくないと思うのだが。
 
そもそもスポーツの強さは何によって決まるのかと考えたとき、こんな感じで導き出せると思う。
ある国のスポーツの強さ=競技人口×育成環境×身体的適合性
 
競技人口と育成環境はニアリーイコールの気もするが、たとえば韓国がマイナースポーツに注力してオリンピックでメダルを量産しているように、多少競技人口が少なかろうが金をかけて育成すればマイナースポーツなら何とかなる。身体的適合性というのはケニアやエチオピアの選手が長距離走に強かったり、白人がどれだけがんばってもジャマイカ人には100m走ではかなわないという、持って生まれた身体能力の当該スポーツへの適合具合だ。
 
この式から分析するに、ケニアのサッカーは競技人口は多いのだが、育成環境がそこまで整っていないのではないかと思われる。また、サッカーは身体接触が多いスポーツなので、筋力がある黒人よりも体が大きい白人の方が普通に有利なのではないかとも思ったりする。
 
また、FIFAランキングを見ていて知ったのだが、ガーナはFIFAランキング25位前後とかなり強いらしい。人口はケニア4100万人に対して、ガーナは2500万人と少ないのに。サッカーの競技人口までは比較できないが、ケニアでもサッカーは相当メジャーなので人口比とそう変わらないと思う。身体能力も変わらないとすると育成環境がまるで違うのではなかろうか。
 
日本のサッカーが近年強くなったのは間違いなくJリーグというプロリーグができたからだろう。プロリーグができることで、そのスポーツだけで食っていけるので、プロを目指す人も増え競技人口が増え、育成のノウハウも蓄積され、選手は競技に打ち込める。スポーツを強くするのは金の力だ。
 
とりあえずwikipediaだけ調べたが、ケニアとガーナにプロリーグがあるかは分からなかった。ただ、ケニアは昔はそこそこ強かったらしいがサッカー協会の内紛で停滞したらしい。どこまでもパブリックセクターが足を引っ張る国だ。
 
 
ちょうどこのエントリーを書いているときにタイムリーな記事を発見した。
 
曰く、イギリスのプレミアリーグは金満リーグと呼ばれるだけあって、金の力で世界中からスター選手を集めており、スペインやドイツのプロサッカーリーグと比較したときに自国選手の数が少ないらしい。その結果、プレミアリーグは自国の選手育成に役立っていないと批判されているのだとか。そしてプレミアリーグにあった選択肢は、プレミアリーグを鎖国して外国選手を閉め出すか、解放することで世界中から優秀な選手とスポンサーを呼び込み、その厳しい環境の中で自国選手を育成するかのどちらかだと。この記事では閉鎖的な日本市場をこのプレミアリーグとのアナロジーで批判している。
 
ケニアにサッカーを強くしたいという意図があるのかは知らないが、あるならやはりプロリーグ化して(してるのかも知れないが)、かつ世界中と積極的に交流するべきだろう。確かにケニアにスポンサーを呼び込むのは難しいかも知れないし、最初は育った選手がプレミアなどに流出していくだけかも知れない。ただ、そうしないことには現状のままずるずる行くだけで、サッカーも強くならずお金も稼げない。