ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

福祉国家オランダ

風邪はレッドブルと300円の市販の風邪薬と気合いでほぼ完治した。
自分の風邪が治ったのをいいことに、今は世界中にウィルスをばらまき、人類を絶滅させることを目指すPlague IncというiPhoneのゲームをしている。なかなか不謹慎なゲームだが、難しくておもしろい。
 
今回はマサイマラに行ったときの話。外国人と話すのはその国の制度や習慣、何よりリアルな考え方を聞けておもしろい。
 
マサイマラはオランダ人4人家族と、中国人の女の子と一緒に回った。
サファリは車と運転手をチャーターしなければいけないので、このように六人で回ることで安くなるのだ。もちろん家族だったオランダ人グループはともかく、それ以外はお互いに面識はなかった。
 
この中国人の女の子がまあよくしゃべる。僕にもなぜ日本の総理大臣はころころ変わるのか聞いてきたり、日本の大学生は遊んでるだけで、全然学校には行かないし勉強しなくていいんだよと説明したときはめっちゃ食いついてきた。
行き帰りの車や、食事の時などはみんなで日本と中国とオランダの事情を話したりしていた。
 
まず、中国人はあまり自国の制度ややり方をよく思っていないようだ(アメリカ留学中の中国人ではあるが)。
googleやfacebookが満足に使えない情報統制に憤り、今の経済発展も人口が増加しているところで、市場を開放したのだから当たり前の話で、この先長くはないだろうと言っていた。そして資本主義の象徴であるアメリカをやたらと尊敬しており、アメリカではタクシードライバーでも家を買える!とか言って、主に所得水準の高さからアメリカを褒めていた。サブプライムローンで問題になった通り低所得層が家を買えるというのは異常なことでそこには何らかの事情があると思った方がいいとかいろいろ言いたいことはあるのだが、残念なことに僕は適当に相づちを打ちながら聞いている。議論になるとめんどくさいのと、そもそもこういうのを英語で説明するのは僕には難しい。
 
このあたりまではオランダ人も黙って聞いていたのだが、アメリカは社会制度が整っていて良いと言い出したとたん、EUの福祉国家であるオランダ人たちがアメリカは確かに一人あたりGDPこそ高いが、社会福祉は糞だと反論しだした。
オランダ人はなかなか自国の制度に誇りを持っていて、好きらしい。リタイアしたら年金で暮らせるし、医療も保険に加入しているから安く受けられるし(ここら辺でアメリカを批判している)、セーフティネットも充実しているから失業もそこまで問題ないと。
 
また、EUの話になったので、ギリシャについてどう思っているのと聞くと、全くあいつらはあり得ない、みたいな感じだった。でもEUで一体なってがんばっていかないといけないから切り捨てることもできない、という雰囲気だった。
EUは自由な資本移動と固定相場の代償として、各国が自由な金融政策を行えず、相場も固定されているためスペインとかは苦しんでいるのだが(ユーロがなければたとえばスペインは不況になると自国通貨を切り下げて、金融緩和を行うなどの対策がとれた)、一方でこうした国々を抱えている制度ユーロは若干割安になり、ドイツなどの輸出国家は潤っている、オランダもそうだろう。結局何らかの形でこれらの国々から所得移転を行わないとユーロは限界、というのが僕は言いたいのだが、まあ適当に受け答えしておいた。
 
なかなか外国人とこんな話をする機会はないので、是非とも当事者とどう感じているのかを見極めながら議論をしたかったのだが、残念ながら僕には難しかった。政治や経済の話をしようと思っても、いかんせん日常会話で使わないので
単語がまるで出てこない。もっと英語のニュースを読むべきだと感じた瞬間だった。
 
しかし、オランダの福祉制度はそこまで上手く機能しているのだろうか。
日本ははっきり言って崩壊寸前であり、僕は保険料も年金もできることなら払いたくないのだが、そこまでオランダは上手く機能しているのだろうか。これは想像だが、僕が話していたのはもうリタイアしたオランダ人夫婦だったので、彼らの場合は確かに年金も無事受け取れて、文句はないのだろう。だが、日本ほど急速に少子高齢化が進んでいる訳ではないにしろ、だいたいの先進国では増税や社会保障費の削減なしには福祉制度を維持するのは不可能だと思うので、若者に聞いたらまた話は違うのかも知れない。