ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

クラウドファンディングで寄付の形は変わるか


2ちゃんねるの管理人のひろゆきのアグネス・チャンへの公開質問状が話題になった。
フィリピンへの災害への支援に当たって、どうして黒柳徹子の口座を紹介しないのかというものだ。
日本ユニセフは募金の20%をピンハネしており、黒柳徹子さんなら全額寄付されるので、黒柳さんの方が良いのでは?という趣旨だ。
 
 
20%という額が妥当かどうかというのは議論の余地があろうが、僕は援助をする人がその分対価をもらうことは妥当だと思っている。日本だと援助は無償でやらなければならないという謎の考え方が根強いが、はっきり言ってみんな生活があるのでそれだと相当の金持ちでしか援助の実行主体にはなれないことになる。それよりはしっかりと彼らにも給与なりを支払うことでより多くの人が支援事業に従事できるようにした方が、援助を受けられる人の数も増えて社会全体では幸福になるからだ。
 
 
クラウドファンディングが登場するまでは、たとえば今回のフィリピンのように大きな災害が起こっても、それに対して寄付をしようと思うとユニセフや赤十字など、大きな権威ある団体に寄付するしかなかった。これだとどうしても機動的に必要なところに必要なお金を行き渡らせるということが難しい。また、寄付金の行方をトレースしづらい、つまり適切にお金が使われたのかが分かりづらいという問題がある。たとえば東日本大震災の後も復興支援用に政府が組んだ予算を受け取ったNPOの代表が資金を私的流用しているということが話題にもなった。
 
クラウドファンディングであれば、支援してくれた人に見返りを提供するものが多く、かつ支援者から実行者に対して監視の目があるのでその資金を私的に流用することは難しい。もちろん集めるだけ集めて逃走する可能性などもあるが、別にこれはクラウドファンディングでなくても、たとえば飲食店が災害用の募金箱を置いていてもそれが本当に寄付されるかは分からないという意味で変わりないと思う。
 
ただあくまでもクラウドファンディングとは個人がプロジェクトベースでお金を集めるものなので、機動的に必要なところにお金が渡るという意味では有用だが、やはり大きな金額が必要な大規模なものは引き続きユニセフのようなパブリックセクターが必要となるだろう。