ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

既得権益の気持ち

就活生に朗報?「学歴フィルター」に異変あり
 
日経にこんな記事が出てた。
要するに、今まで圧倒的な買い手市場(採用する企業側が有利)だったが、景気が上向きつつあり、売り手市場気味になりつつあるので、企業がフィルターを緩和してより広く人材を求めつつある、というニュースだ。
 
まず僕は自由競争が大好きで、市場原理主義者で、既得権益が嫌いで、たとえば薬のネット販売に関しても訳の分からない論理でネット販売に反対する既得権益の薬剤師はくたばれと思っている。
しかしながら、このニュースを見たときは本能的にどこが朗報なんだよ、と思ってしまった。
 
東大生というのは肩書きとしては最強レベルで、僕も就活の時にエントリーシートとウェブテストで落とされたことはない。この学歴フィルターというやつに引っかかることがないのだ。ただし面接まで行くとフィルターはもはや関係ないので、買い手市場においてはバサバサ落とされるわけだが。
今までこのフィルターに引っかかっていた人にとっては、このニュースは朗報だろう。単純に受けられる企業が増える訳だ。一方で東大生など、フィルターに守られてきた高学歴にとってはバッドニュースでしかない。今まで以上に競争が厳しくなるわけだから。
 
この記事の中では、以下のような記述がある。
大東亜帝国クラスの大学だったが、目に止まった学生を採用した。家電量販店のバイトでテレビの販売台数がナンバーワン。クレーム対応が得意というコミュニケーション力が抜群の人材だった」(コニカミノルタ人事部の吉田一さん)
これは東大生にとって恐ろしいことである。そもそも量販店でバイトしたことあるやつなんて少ないだろうし、そこでテレビの販売台数ナンバーワンになれる人はまずいないだろう。事務処理能力であれば我々もそう簡単に負ける気はないが、テレビを売る能力などはっきり言って平均点以下だろう。
このとき薬剤師の気持ちがよく分かった。彼らもバカではないので、どう考えてもネット販売の方が優れており、それが実現化すると薬局が駆逐されることぐらい分かっているのだ。だからこそ反対するのである、自分たちを守るために。
 
僕も改めて自分が既得権益側にいたんだなと実感したわけであるが、しかしそれでも規制緩和に反対する考えは変わらないし、企業が学歴フィルターを緩めることにも賛成である。
その方が社会全体での効用が最大化することは間違いないし、そもそも高学歴であるというだけで一流企業の不向きな職業に就いても不幸になるだけだ。こういうことがあるから、東大生は勉強はできるが仕事はできない的な風潮が生まれる訳だ。こういう話を聞くたびに、仕事ができないのは学歴だけ見てそんなやつを採用したおまえのところの人事だろ!と突っ込みたくなるのだが、このようにフィルターを緩和して企業がまともな採用を行えば不幸な人も生まれないだろう。その分仕事を奪われた東大生は官僚にでも何にでもなって事務仕事でもしていればよろしい。
薬剤師もネット販売への反対なんて社会の足を引っ張るようなことは辞めて、どうすれば生き残れるか考えてほしい。免許や法律に守られなければ生き残れない仕事なんてクソだ。