ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

アワード受賞の裏側

僕のケニアでのインターンが、今年度のアイセックのインターンの中で最も優秀なインターンに選ばれた。一次、二次と審査を経て、最終審査に残った三人がプレゼンをして、その中から審査員が選ぶという形式だったのだが、昨日その審査があって選ばれた。
 
まじめなコメントは表彰の当日や、facebookあたりにもポストしたので、ここではいかにして僕がアワードをとったのかというテクニックの部分を余すところなく公開して、僕なりのプレゼン技術とか、問題解決の方法論のようなものを記す。周囲には余裕などと言いふらしていたが、陰では相当努力しているのだ。
 
 
①プレゼンの勉強
僕は人生においてプレゼンの経験が豊富なほうではない。就活の時のインターンの最終発表でプレゼンしたくらいなので、回数でいえば人生でたかだか一桁であろう。さらにインターンの場合はプレゼン技術が評価対象になるわけではないので、ロジックを詰めることばかり重視し、プレゼン自体はそこまで重視してこなかった。
しかしながら、今回は自分のインターンシップの話をプレゼンして、それで投票で選ばれるというものだったので気合を入れて準備することにした。具体的には以下の本を参考にした。

 

ガー・レイノルズ シンプルプレゼン

ガー・レイノルズ シンプルプレゼン

 

 

 
この本は何が素晴らしいって、著者のプレゼンのDVDがついている。内容は本書について説明したものである。というか、むしろDVDの方が本編で、本はその一部を文字にまとめたという感じだ。この動画を何度も見ることでプレゼンについて学んだ。ちょっと高いが、カッコイイプレゼンをしたい人にはお勧めである。
 
 
②プレゼンの動画
①でそもそもプレゼンの動画を見てよいプレゼンについて勉強しているのだが、ここでは世で素晴らしいとされるプレゼンを見て、それらの共通点を探りまねできるようにした。
具体的にはTED、オリンピック招致、ジョブズオバマ、小泉さんなどいろんな人のプレゼンを見た。ここでは特に僕がTEDで素晴らしいと思った奴を張っておく。内容もさることながらプレゼンがいいやつを選んだ。
 
ダニエル・ピンク「やる気に関する科学」
めちゃくちゃ面白い。プレゼン構成を参考にした。
 
 
エリザベス・ギルバート「創造性をはぐくむには」
感動する、TEDの中でも有名な動画。
 
 
エイミー・カディ「ボディランゲージが人を作る」
上二つに比べると知名度はやや劣るが、とにかく内容が参考になるので後述する。もちろんプレゼンも素晴らしい。
 
あと日本だとジョブズのプレゼンというとスタンフォードのやつを思い浮かべる人が多い印象があるけど、あれは内容の良し悪しはともかく、プレゼンではなく原稿を読んでるスピーチなのでやっぱりアップルの新製品発表を見ましょう、特にiPhoneとかね。
 
 
③プレゼン資料
僕はほぼ画像だけのパワポを用意した。これは①で紹介した本から学んだことだが、とにかく資料はインパクトのある画像に絞って、テキストは最小限にする。コンサルがクライアントに提出するような資料でプレゼンをするのは絶対にやめよう。みんな寝てしまう。僕はパワポの作成技術が著しく低いので、聴衆を引き込むレベルの資料ではなかったと思うが、文字ばかりのパワポと比べて少なくとも退屈はさせなかったはず。
 
 
④プレゼンのやり方
持ち時間は12分だったが、僕は11分くらいのプレゼンを用意してとにかく何度も練習した(ちなみに本番は10分強で終わらせた。)プレゼン時間には必ず余裕を持たせ、とにかく何度も練習すべき。ただし原稿は一切用意していない。原稿を作ってしまうとどうしてもそれを暗記して読み上げるようなプレゼンになってしまうので、内容は覚えても文字ベースでは覚えるべきではない。
そして常に前を向いてプレゼンをする。僕は内容をすべて覚え、全くパワポを見ないで話せるレベルまで練習した。当日はクリッカーを使うので多少振り返りもするが、それでも瞬間的に振り返るだけで、後は聴衆の方を向くべき。
そしてボディランゲージも交えながらプレゼンすべき。僕は自分で練習しているときはいい感じでボディランゲージを取り入れていたと自負しているのだが、本番は左手にマイク、右手にクリッカー、さらにステージに立つのは初めてという状況だったので舞台とボディランゲージの使い方が練習ほどはうまくいかなかった。次年度以降はぜひワイヤレスで耳にかけるタイプのマイクを導入してもらいたい。舞台の使い方に関してはぶっつけ本番だったのでうまくいかない部分もあったが、とにかく広く使った。歩き回りながら時に重要な話をする時に止まったり、聴衆に近づいたりと自分を印象付けるように使った。当初は演壇のあたりにしか照明を当てないはずだったが、打ち合わせの時にお願いして広くあてるように変えてもらった。
あと僕はとにかく早口と言われる。プレゼンのフィードバックをもらうときの第一声は早すぎるからゆっくりしゃべれ、だ。しかし本番では普通にいつもの早口でしゃべった(2分近く余ったのに笑)。大事なのはどうすれば自分がベストなパフォーマンスを発揮でき、その結果として聴衆がどう感じるかであり、早口だと確かに聴衆が話を理解できず振り落とされるリスクはある。ただ今回は複雑な内容を説明するプレゼンではないし、何より僕はゆっくり話すのが苦手なのでまあ何とかなるだろうと判断した。
 
 
⑤マインドセット
一番最後に大事なお話をしなければならない、実は①~④など所詮小細工で勝負は⑤によって、つまりプレゼンが始まる前のマインドセットの段階ですでに決しているのだ。
 
TEDの動画のところで三番目に紹介した「ボディランゲージが人を作る」の内容を簡単に紹介すると、ふりをしていればそれが本物になるという話だ。たとえば面接の前に、椅子に座って窮屈な姿勢をとっているより、両手を挙げたり、机の上に足を投げ出すようなポーズを2分間とっていると、面接において高いパフォーマンスを発揮できるという。また、ハーバードにおいて自分はここにいるべき人間ではないのではないか、と自信を失っている子に大丈夫、あなたはここにいていいんだ、ととにかく自信を持たせたら、成績も後からついてきたとかそんな話が紹介されている。
僕はインターンに行く前からアワードを獲るわ、などと自惚れも甚だしい発言を繰り返し、実際に応募してからも余裕で勝てるなどと調子に乗っていた。こういう過剰なポジションを日常的にとることは笑いも取れる上に、いざそういう舞台に立った時に根拠のない自身が形成されているのでお勧めである。当日も運営のメンバーには知り合いも多いので、皆ご丁寧に緊張してますか?とか聞いてくれるのだが、よゆーと答えておいた。そして当日はプレゼンの確認などはほとんどせず、普通にタバコ吸ったりtwitter見たり、AKB聞いたりしてリラックスしていた。余談だが、前日にはAKBの東京ドームライブのDVDを見て、彼女たちは僕より若い20歳前くらいで東京ドームの5万人の観客を前に歌って踊ったり、しゃべったりしているんだ、それに比べたら自分の300人程度の観客など大したことないと自分に言い聞かせていた。
このようなプレゼン大会においては、コンテンツ(今回だと発表内容やインターンの質)は2割程度でデリバリー(伝え方)で8割方勝負は決まるので、いかに自信満々に、そしてユーモラスにプレゼンテーションをできるかで勝負が決まることが多い。
 
というわけで、このエントリーを読んだ後輩のみんなで来年アワードに出たいと思う人は今日から周りに宣言するといいだろう。