ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

ケニアの道路と排気ガス


ケニアの交通事情
 
ケニア、と書きましたがナイロビの話。
まず基本的に完全な車社会である。途上国に行ったことある人なら想像できると思うけど、とにかく車ががんがんに走ってます。鉄道はあるにはあるけど、ちょっとリッチな旅の手段という位置づけで、庶民の足ではない。
じゃあみんなどうやって移動するかというと、マタトゥという乗り合いのバスのようなものを使う。座席数的には乗客は11人しか乗れないはずが、そこに詰め込んで15人以上乗せる。このマタトゥが市内を走ってて、各マタトゥには番号が振り当てられていて、
人々はこの番号を見ればそのマタトゥがどこに行くのかわかるので、それで目当てのマタトゥに乗る。
 
次に安いのは、バイクのタクシー。
マタトゥが距離にもよるけど40KES(50円弱)くらいで乗れるのに対して、バイクは150KESくらいから。結構高い。
 
ちなみに僕がMUYOGまで通うのにはマタトゥとバイクを併用している。
というのもMUYOGはちょっとへんぴな場所にあり、マタトゥだけでもいけるのだが、
こいつが満員にならないと出発しないために思いの外時間をとられたりする。
暇なときはマタトゥだけでもするが、たいていバイクも使う。
 
バイクは高いだけあって早い。マタトゥだと人々の乗り降りが激しく、かつ客引きに時間をかけるため結構遅い。しかし信号もほとんどない途上国のあの危険な道路をノーヘルで走るというと、その危険性が感じていただけるだろう。そう、信号とか全然ないんですよ。まして横断歩道とかもないし、歩行者は車の間を縫って道路を渡ります。まあインドとかではよくあること。
 
 
 
これだけだとよくある海外旅行記なので、ここからが本題。
僕はケニアでの生活にはそれなりに慣れたつもりだけど、未だに慣れてないのが
排気ガスだ。マタトゥを待つには道路沿いに立っていないといけないので、これが
目の前を走る車の排気ガスをガンガンに浴びてかなりつらい。喫煙者の僕でもこの有様だ。というか、あの排気ガスを放置しておいて禁煙だと禁酒だのというのは正直理解に苦しむ。
 
そしてなぜこんなに排気ガスが放置されているのかを考えて、それには構造的な問題があるのではないかという結論に至ったのだ。
 
まず、日本では排気ガスは法的に制限されている。
細かいことはぐぐってほしいのだが、まず新車を販売するために登録する段階でチェックが入る。次に車両登録段階でチェックが入る、中古車もここで補足される。ほかにも多少あるみたい。なので、日本中の車はこの検査をくぐり抜けており、たとえ道路沿いに立ってタクシー拾おうとしているときでも排気ガスがつらいなどと感じることはあまりない、なんてすばらしいんだ。
 
 
政府的には、排気ガスを垂れ流すのは国民の健康を害するし、温室効果ガス出すしと、
そこをチェックするインセンティブはそれなりにある。だから先進国だと基本的に行われている。
 
一方これがケニアになると、チェックするインセンティブは上述の通りそれなりにある、だがほかにもやることがいっぱいな政府にとって優先順位高いかというと、これはそうでもない。そもそも道路がまともに舗装されていないような段階だからね。
 
さらに、国民もそれを望んでいない。仮に日本レベルの規制を導入したら、ほぼすべての車が走れなくなるのだろう。
 
さらにさらに、こちらの車はほとんどが中古車だ。どこまで公式に補足されているのかよくわからん。
ケニアは世界的に珍しい右ハンドルの国なので、日本車の中古車はよく見かける。
日本車は安くて品質が良いとのことでケニアの中古車業界でも人気なのだ。
そして、先日Sospeterにつれられて中古車の修理現場を見にいったのだが、
これがなかなかすごくて、Sospeterも自動車修理は塗装から、エンジンから
何やらいろいろな技術が集まって成し遂げられるんだと言っていた。
 
で、これを見ながら今回の記事を書くに至ったのだけど、
あー確かにこの人たちにとって車が動かなくなるのは致命的だけど、
多少汚い空気出すぐらいどうってことないんだろうな、と。
少なくともコスト割いて解決する問題ではないのだろうと。
 
こっちで走ってる車は、とにかく一目見ればわかるけど外見はかなりぼろい。
何で走ってるんだろうって不思議なレベル。でもそこには中古車エンジニアたちの努力があって、少なくともエンジンとか、タイヤとか重要な部位はそれなりに整備されている。外装はそれらに比べると優先順位下がって、排気ガスなんてもはやどうでもいいレベルなのだろう。
 
というわけでこれは解決するには時間がかかると思われる。
技術的に難しいとかそういう話ではなく、みんなが健康問題に気を遣うようになって、
そこにコスト避けるだけの経済的余裕が生まれてやっと解決されるのだろう。
少なくとも今は解決は望まれていないし、そこにお金を使うくらいならほかにも使わなければならないものがたくさんある。
 
 
いやーしかしつらい。
アフリカに大自然ときれいな空気を求めて来たつもりが、
東京以上に人工的な汚物にまみれておる。
やっぱ住むなら日本だな。