ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

ケニアはプリペイド社会

サファリと見せかけて今日ちょっと印象深かったケニアでのお金の支払いに関する話。
 
19~21日でマサイマラに行くのだが、その予約は前日書いたとおりMUYOGのスタッフの人に取ってもらった。なんかコネがあるのか知らないが、Sospeterが彼女にお願いしなと言っていたので従った。
 
金額は450ドルで、いつ払える?と昨日メールが来たので、来週MUYOGに行ったときに払うよーと返すと、おいおい旅行は今週だよ、何言ってるんだみたいな返事が来た。
ちなみにもう彼女が取ってくれたとかで、クレジットを使えなかったので仕方がなく現金で払った。
ATMが使えなかったため泣く泣く日本円を両替しにタウンまで移動し、その後支払いのためだけにMUYOGまで行った(MUYOGのネットはまだ復旧していないからオフィスに行ってない)。
 
ケニアでは、基本的にある程度高価な支払いは先払いだ。
これはケニア人は人を信用していないとかそういう話ではなく、たぶんケニアに限らず、途上国ならだいたいそうなのだろうが、顧客の多くが貧困層故に取りっぱぐれるのを警戒しているから。
 
たとえば携帯の料金はプリペイドだ。今使っているネットの料金もプリペイド。今のホステルの宿泊代は入居の際に2ヶ月分求められた。とまあこのような感じで、クレジットリスクのある商品やサービスはだいたい先払いだ。悪意を持って支払ずに逃亡する輩も居るのだろうし、普通にお金が足りなくなって払えないというケースをヘッジするためだ。
 
クレジットリスクに対応する方法はいろいろあるが、プリペイドというのは確実に金を回収できる手段の一つであろう。おかげでクレジットカードで2ヶ月後に支払い、みたいなのに慣れた消費者としてはちょっと不便である。
たとえば日本のサラ金なんかだとクレジットリスクが高い(=貸し倒れる可能性が高い)人にお金を貸すわけだが、これはお金を貸すサービスだからプリペイドなんでできない。だからめちゃくちゃ金利を高く設定する。別に彼らは搾り取れるだけ搾り取りたいという理由だけではなく(搾り取りたいのはサラ金も銀行もみんな一緒だ)、クレジットリスクを取る分、高い金利を設定しないと成り立たないのだ。
 
グラミン銀行とユヌスさんのおかげで日本でも名前くらいは知っている人が多いマイクロファイナンスだが、あれもBOPを対象にしたビジネスなので、当然こうした状況を反映している。つまり、おそらく何も知らない人が想定しているより、めちゃくちゃ高い金利を取る。普通に20%を超えるくらい。日本の消費者金融もびっくりである。
 
もちろん途上国だと、インフレ率が10%前後だったりするので、インフレ目標2%だとか言って、CPIがプラスに転じてきて沸き立つ日本とは事情が違うし、マイクロファイナンスを行うNGOなどがなければ年利100%みたいなむちゃくちゃなレートで借りなければならなかったりするので、一概には言えない。もちろん中にはあくどいレートで貸し出したりしているところもあるようで、最近はそういう「開発」の実態を暴露するような本もちょくちょく出ている。
 
ところで飲食店なんかは基本的に後払いである。さすがにご飯を食べに来たのに、お金を持っていないやつは食い逃げをたくらんでいるやつくらいなので、そのリスクまでは計算には入れないようだ。