ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

サンクコストバイアスと海外旅行

サンクコストという概念がある。前にも書いた気もするが、簡単に説明すると埋没費用という意味で、過去に投じたコストは未来の投資とは分けて考えるべきなのに人間は過去の投資を意識してしまうということだ。
わかりやすく例を用いると、ある企業が研究に10億円費やしたとする。ところが1年たっても何の成果も出なかった。ここでこの研究を継続するか判断するとき、あくまで本当にその研究が成功するのかどうかに基づいて判断するべきであり、場合によっては撤退という意思決定をしなければならない。しかし人間はでも10億円も既に投資したし…と考え、この10億円が無駄になることを恐れ、今回の例だと研究を続ける方にバイアスが働いてしまう。自分の行動を正当化するために。
 
アイセックのインターンというのは最低でも6週間という期間と、渡航費や諸々のお金を含めてかなりの金額が必要になる。つまり結構な投資をするのだ。その結果、サンクコストの例で言うなら、この経験は良いものだったと自分自身に思い込ませるようにバイアスが働く。あくまでそういう方向にバイアスが働きやすいというだけで、インターンシップへの投資が無駄だと言っているわけではないよ、念のため。まあ海外旅行なんかでもよくある話だろう、たいした旅行でもないのに楽しかった良い経験したと自分に言い聞かせるのだ、そうでもしないと10万円以上の航空券への投資が無駄になるから。
 
もう少し見方を変えると、せっかく○○に来たんだから何かしなくては、という方向にもバイアスは働く。航空券というコストを取り戻そうとする訳で、これもサンクコストに近い概念だと思う。たとえば僕の場合だと、せっかくケニアまで来たんだからケニアでしかできないことしなきゃとか、と考えてしまう。一方で僕はケチな人間なので投資するお金と時間に見合わないことはなるべく避けたい。たとえそれがケニアでしかできない経験でも、つまらないのなら結構だ。
 
ケニアでとにかくおすすめされるのはマサイマラとモンバサだ。マサイマラは以前サファリ日記で書いたとおりで、モンバサは沿岸部の観光都市だ。
 
僕は正直迷っている。モンバサに行くかどうかだ。
 
マサイマラはサファリのなんたるかを知る意味で良い経験になった(こんなこと言ってる時点で既にバイアスかかっていることは否めない)が、やはり450ドルというのは高かった。おかげで今は資金不足だ。
モンバサは内陸部の高原であるナイロビに住む人にとっては確かにすばらしいビーチなのかもしれない。だが僕は行くべきなのだろうか?冷静に考えて、ここで余分にお金を使わずに日本に帰ってLCCで沖縄にでも行く方が有意義ではないのか?海外旅行に行くととりあえずいろんなところに行かなければと思うのだが、冷静になるとクソつまらない観光地というのは少なくない。クソみたいな観光地は行けばつまらなかったと後悔し、行かなければやっぱり行けば良かったと後悔する回避不能のジレンマなのだ、いや行って面白かったになれば良いんだけどね。
 
ナイロビは飯がまずい、モンバサは海に近くて美味しいらしい。そしてもう完全に飽きたんだよねナイロビ暮らし。あー迷う。しかし行ったら行ったでまたぶつぶつ文句を言いそうな自分が居る。