ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

ケニアの郵便制度


ケニアには住所と郵便制度がない。
 
Mara Road, Upper Hill,Nairobi,Kenya
たとえばこれは日本大使館の住所なのだが、日本のように何丁目何番地と細かく分かれておらず、ケニア国のナイロビ市のUpper Hillという地域のMara Roadのどこかにあることまでしか分からない。だからホームページには地図が載せてある。どこか初めての場所に行こうと思うと結構大変だ。日本にいればまだスマホでgoogle mapが使えるから良いが、こっちでは使えないので人に聞いたりして何とかしてたどり着かなければならない。
 
また、いわゆる郵便制度もない。ポストに手紙を投函して、宛先を書いておけば配達してくれるというあれがない。
じゃあどうやって書類などを郵送するかというと、私書箱を使う。今度はJICAのケニア事務所を例に持ち出すと、

P.O.Box 50572-00200, Nairobi, KENYA

POはpost officeの意味で、これがいわば郵便番号だ。
 
僕も最初は私書箱の仕組みを知らず、以前Sospeterとタウンを歩いていたときに郵便を取りに行くと言い出したので、?となったのだが、なにやら写真のような場所に連れて行かれ、そこでMUYOGの番号のところに行き、持っていた鍵で開けて郵便物を取り出していた。
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タウンにオフィスがあるならまだしも、MUYOGはこの私書箱が設置されているところからかなり離れているので、当然毎日チェックはできない。今回のように近くに寄ったときにチェックするのだ。この郵便受けに入りきらないような、何かしらの荷物を郵送するときも仕組みは同じで、僕は入ったことないのだがどこかしらに荷物預かり所があり、荷物が届くとそのことが何らかの方法で伝達され、わざわざ取りに行かなければならない。さらに保管料金までとられるらしい。
不便だなー前島密に感謝しなければと思いつつ、なぜこのような形式をとっているのか考えてみた。
 
日本では郵便事業は小泉さんが郵政民営化だと騒いだように、元々国営だ。そして実際に2013年3月期の日本郵便株式会社の決算を見てみると、営業利益900億円、当期純利益800億円となかなかの利益をあげる優良企業だ。独占みたいなもんだし、郵便事業は儲かるのだ。僕はケニアのビザを取得するために、人生で初めて現金書留なるものを使ったのだが420円も取られて頭がくらくらした。在日ケニア領事館はすぐにクレジットでの支払いを採用するべきだと思った次第だ。
 
とにかく儲かるんだからやれば良いんじゃね?とも思うのだが、ケニアだとそうもいかないのだろう。
まず、上述の通り住所がない。すべての地域に住所と郵便番号を割り振ることから始めなければならず、これには相当の行政コストがかかる。さらにそれを終えてもなおスラムという問題がある。ケニアのスラムだと住居登録されているのかも怪しいくらいで、すべてを補足するのは不可能だろう。結局、実現するのは非常に困難、かつできてもスラム住民にとってはむしろ不便だったりするのだ。
また、現在の郵便サービスを変えるとなると既得権益からの反発も大きいのだろう。ケニアは賄賂と汚職横行する国なのでなおさら大変なのではないかと思う。とはいえタウンの一部地域などで限定して住所設定などから初めても良い気がするのだが。
 
現在の不便な郵便制度に関しても、途中で荷物が行方不明になったり、賄賂や高い税金を要求されたりといろいろ面倒なこともあるらしい。僕は日本にものを輸送する手段を考えたときにこんなものは当てにならないと考えて、DHLの料金を調べてみたのだがアホみたいに高かった。郵送するものにもよるが紛失リスクをとった方がまだましだと思った。郵便事業というのは公共サービスの例に漏れず1社独占にならざるを得ず、その他の業者はDHLのように早さや安全性で差別化を図って、どうしてもこの書類を今日中に届けなければならない人のようなニッチな高価格帯を攻めるしかない。