ケニア日記

ケニアのNGOでのインターン記を綴っていたブログ。今は電器メーカーの財務で働いてます。

奨学金と内定者ローン

イケダハヤトがまた炎上している。
狂った日本の奨学金制度と題して、大学卒業のために720万円奨学金を借りた学生の例を挙げ、学生を擁護して奨学金制度を批判している。
 
Blogosにおいてもイケダハヤトは炎上するのが上手いというか、ナンセンスな記事を嫌らしい文体で書いて人々の反感を買うのに長けていると思う。嫌みで入っているのではなく、マネタイズできる文章を書き、それで食っているという意味で僕は尊敬している。ただ入っていることはとんちんかんなことが多く、あまり思想には賛同できないし、今回の件もそうだ。
 
イケダハヤトへの反論はいつものごとく腐るほどいろんな人がしてくれているので、僕もある種彼の主張と反対と言えるのだが、もっと学生がお金を借りられたら良いのに、ということで内定者向けローンという仕組みを提案してみる。
 
要するに企業が内定者の学生に融資するというものだ。学生と企業の双方にとってすばらしいメリットがあると思うのでそれを説明する。
まず、就職活動を終えた学生というのは、今まで4年間遊んできたくせに、来年から遊べなくなると思うとそれに恐怖を感じ、もっと今のうちに遊んでおかなくちゃ!と考える。一般的に大学生というのは金はないが時間はあるので、バイトすることでこの時間を金に換えようとする。そして貯まったお金で海外旅行に行ったりして、またバイトするというのがよくある文系学生の4年目だ。たいていの学生は単位は取り終えており、学部の文系の卒論もそこまで重くなく、そもそも書かない場合も多い。
このバイトしてる時間が非常にもったいなく感じるのだ、来年から給料もらって働くのにどうして今働かなければならないのだ、と。仕事なら身につくこともあるがバイトなんてたいした経験にもならないのに、と。
そんな学生向けに融資してあげることで、彼らはバイトから解放されて残りの学生生活を有意義なことに費やせる。アホみたいに遊ぶ文系学生を例に出したが、研究に忙しくバイトもできない理系修士の学生にとってもありがたい制度だと思う。
 
企業側からすると二つのメリットがある。
一つは単純に金貸し業務で儲かる。もう一つは内定者、つまり将来の社員を借金漬けにすることで内定辞退や離職を防げるというものだ。つまり、これは普通に有利子の融資なので要するに借金だ。社会人1年目から借金を抱えさせることでそう簡単に仕事を辞められないし、転職、起業などリスクを伴うオプションをとりづらくなり飼い殺しにできる。ちょうどローンを返済し終える頃には結婚でもしてもらえばまた別の意味でリスクをとりづらくなるだろう。また、自社の人間に貸し出しているわけで、給与を抑えている以上貸し倒れのリスクも少ない。学生が留年してしまうリスクに関しては、留年しようときっちりお金は返してもらえばいいし、何より借金があるという思いから卒業に向けて真面目に勉強するようになり留年による内定辞退リスクを軽減できると思う。
 
法律的には金貸し業務は誰でもできるわけではないので、給与口座を持っている銀行にこのような仕組みを作ってもらうのが現実的だろう。メリットに金貸し業務で儲かると書いたが内定者の数などたかが知れており、一企業が数人の内定者のためにこのような仕組みを作るのは面倒だと思うので、普通に銀行と協力すれば良いだろう。
 
僕もお金が欲しかったので調べたところ学生の無担保融資は普通に15%前後の金利を取られる。内定者向けローンというのは東京都民銀行がやっており、これで8.8%で、もう少し安くしてほしいところだ。東京都民銀行単体で行うと、メリットのうちの1つ目しか得られず、要するに普通の金貸し業務なのでこの金利自体は全然妥当な水準だと思うが、これに手を出すのはちょっとためらわれる。
 
ヤフー知恵袋(笑)ではこの金利をどう思いますかという質問に借金なんてやめておきなさいというコメントが返されていた。日本では借金=悪と考える風潮は根強く、そのくせ平気で35年ローンを組んで家を買ったりするから本当に不思議だ。借入金というのは要するにレバレッジをかけるわけで、借入金比率を高めるほど自己資本利益率とリスクが高まるというのは投資の基本だ。学生の礼で言うなら充実した学生生活を送れる代わりにリスクが高まる、ということだ。ちょっと強引だが。まあ当たり前の話で、人間は借金をすることで本来自分にはできなかったことができるのだ。そしてその分リスクも高まる。ここら辺は高校で教えた方が良いと思う。
冒頭の奨学金の話に戻ると、僕は高校でもっと経済とかお金の話をすべきだと思う。実際僕も大学で自分で勉強するまでは何も知らなかった。とりあえず現国のようクソみたいな授業をやるくらいなら銀行員でも呼んで金利と仕事の話でもしてもらったら良いと思う。そうすれば720万円の借金を背負って大学に行こうとする高校生も、本当にこの大学に借金をしていく価値があるのかと考えるだろう。ここまでやればもう自己責任と言われても何の反論もできないはずだ。